デジタルデバイド?〜「知っている人」と「知らない人」

前項で触れた様々な不整合や不一致が、知識や技術を提供する側と、それらを欲する側(ユーザー、ビギナー)の間にはあると思われます。この結果として一種のデジタルデバイド(1が生じています。つまり知識や技術を持っている方々と、そうでない方々という二極分化です。

コンピューターとは新しいテクノロジーであり、技術的な用語や概念も多いものです。また進化のスピードも異常に速く(2、次々に新しい用語や概念が生まれるので、知識や技術を提供する側からすれば、それを知らない方々に伝えて行くのは手間のかかる作業です。さらにわかりやすく解説するスキルが備わっていないとすると、これはもっと難しくなります。煩雑さすら覚える方もいらっしゃるでしょう。すると知識や技術を持っている層は、言葉が通じ、概念の理解も速い、いわば自分と同様のグループと結集している方がはるかに楽になります。コンピューターに恐ろしく精通した方々に、ある種マニアックな感覚を覚える方は、このような状況を見てそう思われるのかもしれません。

二極分化の概念図〜知っている層と知らない層のグループ化しかし、知識や技術を欲する側からすれば、これでは依然としてわからないままになってしまいます。「パソコンって難しい」「パソコンってよくわからない」。このようになってしまうのは芳しくありません。まして10万〜20万円ほどの投資までしていれば、「高いお金を出したのに、どうしていいかよくわからない」「買ったはいいけれど全然使っていない」、果ては「損をした」とより悪いイメージまで抱きかねません。身近で手軽にそれらの知識や技術、また情報を入手できない層も、同様にそのようなグループとなってしまっており、その中では「パソコンは難しい・わからないモノ→触れづらい・馴染みづらい」と思われています。

我々はこの分化構造を大変問題視しており、もっと広く一般的に、もっと多くの方にパソコンに慣れ親しんで頂きたいと願っています。そのためには、何よりもっとわかりやすい形で知識や技術、そして情報が伝わることが重要であると考えています。

パソコンとは、きちんと使えばどんな方にとっても利便性が高い道具となるのは間違いありません。もはや日常生活の中でパソコンが活躍しないフィールドはないと言っていいほどです。ビジネスシーンは言うに及ばず、社会生活(医療・社会保障など)や趣味の領域(デジタルカメラやはがき作成など)までコンピューターは導入されています。インターネットは何にも勝る情報量があり、ブロードバンド回線の費用が先進国の中で最安レベルである日本では、コストも大変リーズナブルです。また世界中の方へ情報発信したり、彼らとコミュニケーションを取るのにも、最も簡単かつ安価な道具でしょう。メール以外にIPフォン(通話料が格安なインターネット電話)を活用すれば、遠方や海外への通話料は格段に安くなります。そしてお体にハンディキャップがある方には、とても心強い味方になります。またコラムで触れているように、疾病のリハビリにも活用できるものです。比較的時間の余裕があるシニアの方には、人生を豊かにしてくれるとても良い趣味の一つになるでしょう。頭の体操にももってこいです。女性の方にとっては、実はインターネット上には女性限定のサービスというものが多数存在しますから、それらを活用するのも賢い利用法と言えます。また、新しいものを取り入れるのが得意で、生活感覚に敏感な感性をはるかにお持ちなのも女性の皆さんです。どんどん活用して毎日をエンジョイして頂きたいと思います。パソコンとは、きちんと理解して使えば、とても便利に、そしてとても安価に、楽しんで利用できるものなのです。

我々は知識や技術、情報を欲するビギナーやシニアの方へ、そして何より多くの方へ、適切でわかりやすい形でそれらを提供することを使命と考えています。

次は 出張サービスの利点 です

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(1 デジタルデバイド:Digital Divide

パソコンやインターネット等の情報技術(IT)を利用する能力、及びアクセスする機会を持つ者と持たない者との間に生じる情報格差のこと。所得や年齢、また都市と地方という地域間、先進国と途上国という国家間、人種や教育の違いなどで格差が発生すると言われています。

(2 ムーアの法則:Moore’s Law

Intelの創設者の一人であるGordon Moore氏が提唱した法則で、「半導体チップの上に集積されるトランジスタの数は2年ごとに倍増する」というもの(18ヶ月毎とも言われる)。簡単に言えば、この短期間で性能が倍になるということです。また、価格は半額ほどになります。この進化スピードは他のあらゆる産業に類を見ません。それゆえに新しい技術もどんどん出てきますが、反面それに追従するのも難しくなります。パソコンは2、3年で陳腐化してしまう理由もここにあります。パソコン業界の進化のスピードを象徴する言葉として用いられることも多いのですが、そろそろこの法則通りの発展スピードを半導体が維持できなくなりそうです(微細化が原子レベルに達するため)。

外国の方のパソコン使用状況は?

このような仕事に携わっていると、外国のユーザーの方との接点も増えてきます。メッセンジャーやフォーラム(日本で言う掲示板システム)を活用することで、世界中のユーザーとの交流を深めることもできます。そして会話を重ねると実に面白いことがわかります。やはり一番感じるのは日本人のユーザーとの「温度差」でしょうか。

簡単に言いますと、やはり外国の方、特に欧米の方はよりパソコンに馴染んでおり、生活における密着度も高いということです。もちろん外国にもビギナーの方は大勢いらっしゃいます。しかし、パソコンに対する抵抗感が少なく、日常生活の中でも使う機会が多いように見受けられます。インターネットやEメールはご高齢の方も平気でお使いになられますし、(インター)ネットショッピングも大変メジャーなものとなっています。日本では安全性を危惧される方も多いオンラインショッピングですが、外国はクレジットカード文化ですから、画面上の入力で決済が行える手軽さから、インターネットショッピングは深く浸透しています。

確かに考えてみれば、パソコン内部の主要部品はほとんどが外国製。パソコンの頭脳とも言えるCPUはアメリカ製がほとんどで(Intel,AMD)、世界中の9割のパソコンに使われているOSであるWindowsもアメリカ(マイクロソフト社)製です。インターネットの前身であるARPANET(アーパネット:軍事利用のためのネットワーク)も1969年にアメリカで造られました。このように、パソコンというものが社会に普及する過程を一緒に歩んできたというのが彼らの強みかもしれません。このような背景が、彼らのパソコンへの「馴染み」を深め、生活への密着度を高めた理由となるのでしょう。また事実上世界の公用語である英語を使うのも、情報交換や技術開発の利点となります。

上述のような事情はアメリカの方だけでなく、ヨーロッパの方も同様です。特に北欧は世界で最もIT化が進んだ地域。彼らの活用度はとりわけ高いようです。日本は回線費用は最安なのですが、活用度という点では欧米やお隣の韓国にも未だ及ばないのが現状です。また、よく知られる通りインドも優秀な技術者を多数輩出しています。さすが数字の0(ゼロ)の概念を創出したり、二桁の九九を教える国、理数系は十八番。欧米の一流企業がヘッドハンティングに来る理由もうなづけます。そしてアジアに目を移すと、シンガポールもIT先進国ですし、台湾や香港にはパソコン部品を作る有名メーカーがあり、やはりそこに暮らす方々はパソコンに慣れ親しんでいらっしゃいます。とりわけ中国圏は近年の経済発展がすさまじい地域。話してみるとわかりますが、コンピューター活用への積極性のみならず、ある種高度経済成長期の日本のようなパワーを感じます。

このように、世界の方々は老若男女問わず積極的にパソコンを活用していらっしゃいます。日本の皆さんにもより積極的に、そしてより楽しんでパソコンを使って頂けたらと我々は願っています。

(追記)
パソコンを活用して手軽に外国の方とコミュニケーションができるのは、大変素晴らしいことです。しかし、媒体にパソコンというデジタルなものを使ってはいますが、やはりコミュニケーションは人間対人間。アナログな部分も多いのです。何より相手の国の文化や歴史をきちんと認識し、リスペクトすることが大切です。そして異なる価値観を柔軟に受け入れることで、彼らとの親交を深めることができ、国を越えて様々な情報を入手するという楽しみを得ることができます。

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